アダルトチルドレンの特徴について

今回は「アダルトチルドレン(AC)」と呼ばれる人たちの特徴についてお話しします。アダルトチルドレンという言葉は、問題を抱えた家庭環境で育ち、成人後もその影響に苦しんでいる方を指すものです。不安定な家庭環境や親の不適切な行動を経験しながら成長すると、それが大人になったあとも深く心に影響を及ぼすことがあります。


アダルトチルドレンとは?

アダルトチルドレンは、子ども時代に十分な愛情や安心を得られなかったことで、自尊心や自己肯定感をうまく育めずに大人になった人を指します。かつては「アルコール依存症の親を持つ子ども」に特化して使われる言葉でしたが、現在では虐待、ネグレクト、過干渉など、さまざまな家庭環境の問題が原因となるケースがあると言われています。

代表的な特徴

1. 自尊心が低い

「自分には価値がない」「失敗するのが怖い」という思い込みを強く抱えがちです。子ども時代に「ありのままの自分」を受け入れてもらえなかった経験により、自尊心がうまく育たず、大人になっても苦しみを感じることがあります。

2. 極端な人間関係になりやすい

人との距離感をうまく保てず、過度に引きこもったり、あるいは過度に依存したりと、極端なかたちになりやすいのが特徴です。心の中に「人を信用する怖さ」と「親密になりたい欲求」が同居しており、葛藤が生まれるといわれています。

3. 感情や思考をコントロールしづらい

家庭内で感情を自由に表現できなかったり、いつも周囲に合わせなければいけなかったりすると、本当の自分の気持ちが分からなくなりがちです。結果として、イライラや落ち込みがコントロールしにくくなったり、人と適切な距離を取る方法が分からなくなったりすることがあります。

4. 過度な責任感や完璧主義

両親や家族に安心を与えるために「失敗してはいけない」「常に良い子でいなければならない」といった考えを持ちやすくなります。その結果、完璧主義や強い責任感を抱え、失敗や挫折に弱い一面につながることがあります。

5. 身近な人との共依存関係

自尊心が低く自己評価が不安定なため、自分の価値を相手に認めてもらおうとして相手の欲求や問題に深くのめり込みやすいです。相手に尽くすことで自身の存在意義を得ようとする一方、「自分がいないとダメになるのでは」と強く思い、結果として共依存関係に陥りやすいとも言われます。

アダルトチルドレンの6つのタイプ

アダルトチルドレンには、育った家庭環境で果たす「役割」ごとにいくつかのタイプがあるとされています。代表的なものとして6つのタイプが挙げられます。

  1. ヒーロー(英雄)
    周囲からの評価を高める行動をとり続け、高い成績や成果で家族の問題を覆い隠そうとします。完璧主義や挫折への恐怖が強くなりやすいです。
  2. スケープゴート(生贄)
    問題行動や反社会的行為などを引き受け、自分が「悪者」になることで家族の不満を一手に引き受けます。
  3. ロスト・ワン(いない子)
    目立たないようにひっそり振る舞い、家庭内でも「いないもの」として過ごすことで問題を回避します。
  4. ケアテイカー(世話役)
    親や兄弟、家族の世話を過剰に行い、そこに自分の価値を見出そうとします。
  5. ピエロ(道化師)
    家庭の緊張をほぐすためにジョークや滑稽な振る舞いをし、真剣に向き合うことを避けます。
  6. イネイブラー(支援者)
    家族の問題行動を隠したり、かばったりすることで、かえって問題を助長してしまう役割を果たします。

まとめ

アダルトチルドレンは、機能不全な家庭環境の中で苦しい思いをしながら成長し、大人になっても心の傷や生きづらさを抱えています。ただし、こうした特徴やパターンは理解し、取り組んでいくことで乗り越えることが可能です。カウンセリングや専門家のサポートを受けること、同じ悩みを共有する自助グループに参加することなどは大きな助けになります。

もし「生きづらさ」を感じたり、「思い当たるかも」と思ったとしても、まずは自分を責めすぎず、必要なら専門家の力を借りてみてください。過去のパターンに気づいて癒していくことで、少しずつ、自分らしい生き方を取り戻すことができるはずです。 この記事が、アダルトチルドレンに悩むあなたや大切な人の気づきのきっかけになれば幸いです。当サイトでも回復に役立つように「当事者研究会」や「カウンセリング」を行っているので、ご利用をお考え下さい。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

アダルトチルドレン相談室の管理人。
自身の苦しんだ体験と回復した経験を活かし多くのACをサポート。現在も少しでも多くの人の役に立てるように、さまざまな心理療法を学び続けている。

目次