アダルトチルドレン(AC)の6つのタイプとは?
前回、アダルトチルドレンの特徴についてで6つのタイプについて簡単に触れました。今回はそこを掘り下げてもう少し詳しく書きたいと思います。アダルトチルドレン(AC)とは、機能不全な家庭環境で育ったことが原因で、大人になってからも生きづらさを抱えてしまう人々を指す概念です。アルコール依存症やギャンブル依存症など、さまざまな要因によって「子どもが自分の感情や欲求を後回しにし、家族のバランスを保とうとする」状態が続き、その影響が成人後も残ってしまいます。その特徴や役割の取り方は多岐にわたりますが、大きく分けると以下の6つのタイプがあるとされています。
ヒーロー(英雄)
家族の問題に気付かれないよう、外から優等生として見られることを目指すタイプです。勉強や仕事で高い成果を出して家族を支えようとし、親や周囲に評価されることで安心感を得ます。周囲から見るととても努力家で頼りになる存在ですが、その裏には「挫折してはいけない」「期待を裏切ってはいけない」という強いプレッシャーがあり、大きな失敗をきっかけに自信を失いやすい傾向があります。
スケープゴート(生贄)
問題行動や反社会的な行為を見せることで一家の“はけ口”を引き受けるタイプです。家族にある根本的な問題を自分が引き受けるような形で、あえて非行を起こしたり成績を下げたりすることで、周りの関心を集めます。反発や反抗を繰り返すうちに孤立感を深めることも多く、周囲から「困った人」というレッテルを貼られてしまう場合があります。
ロスト・ワン(いない子)
家の中では目立たず、ひっそりと過ごすタイプです。両親やきょうだいの揉め事に巻き込まれたくない、あるいは問題が起きても関わらないようにすることで心を守ろうとします。自分の意見や感情を外に出すのが苦手で、大人になってからも対人関係を築くことに苦痛を感じやすいと言われています。
ケアテイカー(世話役)
家族や周囲の問題を解決しようと、献身的に世話を焼くタイプです。親の代わりとして家事やきょうだいの世話を引き受けるなど、とにかく周りを優先して動きます。しかし、その裏には「自分がやらないと家が崩壊してしまう」「誰かの役に立つことでしか自分の価値を感じられない」という思いがあり、相手に感謝や褒め言葉を求めすぎてしまうこともしばしばです。
ピエロ(道化師)
家族に重苦しい空気が漂うことを避けるため、冗談や明るい言葉でムードを和ませようとするタイプです。明るく元気な人として振る舞うことが多い反面、自分の本当の気持ちを出せず、「ふざけた役割を演じ続ける」ことで内面の苦しさを抱え込む傾向があります。笑いを武器に問題を避けるため、悲しみや怒りといったネガティブな感情の扱いが難しくなりやすいと言われています。
イネイブラー(支援者)
家族の誰かが持つ依存症や問題行動を、逆に手助けしてしまうタイプです。幼少期から過剰に周囲に尽くすことで、相手が本来向き合うべき課題を回避させ続け、自分自身は「いないとダメな存在」として安心を得ます。共依存的な関係に陥りやすく、大人になっても相手を世話することによって自分の価値を見いだそうとしがちです。
まとめ
これら6つのタイプは、あくまで傾向としてまとめられたものであり、実際には複数のタイプが混ざり合っている場合や、まったく当てはまらない方もいます。いずれのタイプにも共通するポイントは「自己肯定感の低さ」と「相手や周囲の様子を過剰にうかがう癖」があるということです。アダルトチルドレンを自覚し、もし生きづらさを感じているのであれば、カウンセリングやセルフヘルプグループ、書籍などを活用しながら、自分の気持ちに焦点を当てていくことが回復の一歩になります。当サイトでも回復に役立つように「当事者研究会」や「カウンセリング」を行っているので、ご利用をお考え下さい。