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パーソナリティ障害

 物事を極端に考えたり捉えたりすることが原因で、社会に適応するのが難しくなってしまうという障害を、「パーソナリティ障害」と言います。異常なほどの優越感や劣等感を持っていたり、人を信用しすぎてしまったり、反対に疑いすぎてしまったりすることがよくあります。また時には、激しい暴力や暴言、アルコールや薬物への依存、自傷行為や自殺企図といった行為として現れることもあり、本当に犯罪に繋がってしまうケースも少なくありません。物事に対する捉え方が一般的な許容範囲を大きく超えてしまっているために、周囲の人たちと良好な人間関係が築けず、社会生活や職業生活で、支障をきたしてしまうのです。

 パーソナリティ障害は、以前は「人格障害」と呼ばれていました。しかし、日本語の「人格」と英語の「personality」では若干意味が異なり、「personality」は性格や性質、人柄を表す一方で、「人格」というと、道徳観や倫理観など、日本ならではの意味合いが含まれるため、「人格障害の人は道徳観や倫理観に大きな問題があり、犯罪なども起こしかねない危険な人物」という誤解を招くことが多くありました。そうした間違ったイメージを変えるためにも、現在では「パーソナリティ障害」という言い方がされています。

 

パーソナリティ障害の特徴

1.認知、感情、対人関係、衝動性などにおいて、著しい偏りのパターンが見られる
2.偏りのパターンは、青年期から成人期早期(10歳代後半から20歳代前半くらい)に始まり、それが長年続いている
3.偏りのパターンがあることにより、日常生活や仕事の場面で支障をきたしている

 パーソナリティ障害は、本人も周囲の人も、気づくのが難しいものだと言われています。ほとんどの人は、「自分は障害としての偏りがある」とは思いません。そのため、障害のことを知らず、治療を受けることのないまま、どうして人間関係がうまくいかないのか分からずに、ずっと1人で悩んでいるということがよくあります。
世の中にはさまざまな性格の人がいるため、パーソナリティ障害を抱える人に対して、周囲の人も「付き合いづらい相手だな」程度にしか思いません。また、この障害に対する認知も、社会的にはそこまで高くないため、周りから自分がパーソナリティ障害であることを教えてもらえる機会もないのです。

 パーソナリティ障害の人が医療機関を受診するケースは、何らかの衝動行為が現れ、家族や学校・職場の人が心配して病院に連れてくるという場合と、社会生活がどうしてもうまくいかずに、鬱や不眠などの身体症状が生じてから、そこで初めて異変に気づき、自ら病院を訪れるという場合がほとんどです。
本人も周囲の人も、人間関係や社会生活がうまくいっていないということには気づいているのですが、その原因がパーソナリティ障害にあるとは思わないものです。まして、治療の必要がある障害とは考えないのが一般的ですから、辛い状態のまま、社会生活を送っている人が非常に多いのです。

 

パーソナリティ障害の種類

現在、パーソナリティ障害は10種類あり、その特徴によって以下の3グループに分けられています。
  グループ名  種類
 A郡  ・妄想性パーソナリティ障害 
 ・スキゾイド・パーソナリティ障害 
 ・スキゾタイパル・パーソナリティ障害
 B郡  ・演技性パーソナリティ障害 
 ・自己愛性パーソナリティ障害 
 ・反社会性パーソナリティ障害 
 ・境界性パーソナリティ障害
 C郡  ・回避性パーソナリティ障害 
 ・依存性パーソナリティ障害 
 ・強迫性パーソナリティ障害

・「A郡」は、奇妙で風変わりな考えを持つことを特徴とします
・「B郡」は、感情的かつ衝動的で、周囲を巻き込みやすいことを特徴とします
・「C郡」は、不安や恐怖心が強く、内向的であることを特徴とします

※それぞれのパーソナリティ障害については、パーソナリティ障害のカテゴリーにある該当ページをご参照ください。

 

パーソナリティ障害の原因

 パーソナリティ障害を発症する原因は、決して1つではありません。本人が生まれつき持っている気質や育てられた環境、そのときの時代の価値観なども関連します。
人は誰でも、生まれながらにして、その人固有の気質を持ち合わせています。生後間もない赤ちゃんであっても、おとなしい子もいれば活発な子もいますし、神経質な子もいれば無頓着な子もいます。こうした、生まれつきの気質がもとになり、パーソナリティが偏ることで障害になるという場合もあります。

 また、親から十分な愛情が与えられなかったり、親子間の愛着関係がスムーズに築けなかったり、虐待やネグレクトを受けたりすると、パーソナリティはより一層不安定になりやすく、大人になってからもあらゆることがきっかけになって傷ついてしまいます。
幼い頃の養育環境以外にも、学校や職場などでの人間関係で、心のバランスを崩し障害を発症するということもあります。

 ただし、原因を突きとめたからといって、すぐに回復するというわけではありません。原因は原因として客観的に受けとめ、今、具体的に困っている問題点に目を向けることが重要です。それをもとに、少しずつ自分を変えていくことが回復に繋がっていくのです。

 

パーソナリティ障害の重なり

 先ほどあげたとおり、パーソナリティ障害は10種類に分類されますが、どれか1つというわけではなく、何種類かを複合的に合わせ持っている場合もあります。中でも、「境界性パーソナリティ障害」と「演技性パーソナリティ障害」、「自己愛性パーソナリティ障害」と「反社会性パーソナリティ障害」、「自己愛性パーソナリティ障害」と「強迫性パーソナリティ障害」は重なりやすい関係であると言われています。
 また、「自己愛性パーソナリティ障害」のうち、尊大さを表面的に見せない潜在的なタイプの人は、自己評価が低く、社会参加に消極的であるため、「回避性パーソナリティ障害」と重なりやすい傾向があります。
パーソナリティ障害と精神病が合併することもよくあります。そのため、いったい何がメインの問題なのかを見極めるのがとても大切なのです。

※それぞれのパーソナリティ障害については、パーソナリティ障害カテゴリーにある該当ページをご参照ください。

 

パーソナリティ障害の回復

 まずは、「自分自身のパーソナリティには偏りがある」ということを認識することが必要です。偏りに気づければ、それを修正していくことができるからです。パーソナリティ障害は、自然に治るというものではありませんが、さまざまな療法によって少しずつ回復させていくことができます。
 主な治療法としては、個人精神療法、集団精神療法、薬物療法、認知行動療法などがあります。治療中は、一進一退を繰り返し、ある程度の期間も必要としますが、あきらめずに回復していこうとする気持ちが、大きな力になっていきます。